アイデアの構造化とフレームワーク思考の適用

論文

機能系統図を作成する「機能の整理」のステップはVEの最も特徴的な部分であり、その効用は設計思想を共有化する、創造力を刺激する、コミュニケーションを改善するなど、多くの利点がある。機能の表現方法や検討対象範囲などにより、系統図もいくつかのタイプに分類されることが知られているが、いずれの場合においても、最上位機能から展開される上位レベルの機能のとらえ方が、機能分野や重点機能系列を決める上で極めて重要となる。

一方で、VE活動の目的を「価値を向上させるための質の高いアイデアを効率的に出すため」と定義するならば、多くの時間と労力を割いて作成する機能系統図は、アイデア発想において付加価値の高いものでなくてはならない。換言すれば、「機能系統図」と「アイデアの出しやすさ」との相関において、チームメンバーの誰もが機能系統図の付加価値を高いと感じるものでなくてはならない。

本研究では、アイデア発想のステップにおいても機能系統図の作成手順と同様のアプローチで発想していく方法について、『アイデアの構造化』、『"願望機能"を起点とするアイデア発想』という新しい概念と、『フレームワーク』という汎用的なビジネスツールの概念を適用した新しい方法について提案する。機能系統図の付加価値を高めることで、機能系統図の作成検討時におけるメンバーのアイデア創出の動機を高めることができ、モレのない視点で効率的に質の高いアイデアを発想していくことが可能になると考えている。また、成熟した製品・業界において、既成概念を打破し抜本的に製品構造を見直すことは困難を極めるような状況の中でも、より現実的なアイデアを効率的に出していくことが可能になる。

目次

  • 1. はじめに
  • 2. 弊祉のVE活動において顕在化したアイデア発想上の問題点
  • 3. "良い"機能系統図とは?
  • 4. アイデアの構造化についての提案
  • 5. アイデア発想の起点を"願望機能"に変えることの検討
  • 6. フレームワーク思考の適用に関する検討
  • 7. おわりに

発行年

2003年 VE研究論文集 Vol.34

著者

石川島播磨重工業株式会社
調達エンジニアリング推進部
松澤郁夫

カテゴリー

  • VEテクニック

キーワード

  • アイデア発想
  • フレームワーク思考
  • 機能系統図
  • 着眼点

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