論文
産業界でのVEの適応性は非常に高く,幅広く普及してきつつある。厳しい経済事情の中で建設業界においても,業者側の立場として利益を求めることは必然であり,より高い利益を得ようとする努力の中でVEがこれを満足する1つの手法としてクローズアップしたことは,大きな発見であった。
営利会社として企業利益をあげるためには,少人数のVErで,しかも短時間に問題解決をすることが要求され,VE効率を高めることが最大の関心事の1つである。このことは少ない投資でより高い効果を求めようとする努力であり,前編第1報で述べている。
近年,建設工事の現況は,工期が短縮される傾向にあり,受注即着工が要求されるため,VEによる検討を加える余裕時間はほとんどなく,また,企業の性質上,作業所は各地に分散し,しかもこれらの作業所に配属される職員は少人数の編成が多い。したがって作業所で発生する問題を解決しようとするとき,限られた人員で極く短時間に処理しなければならず,そのための良きリーダーに恵まれることは少ない。こうした環境でVEを進めて行かざるを得ないのが現状である。
このような状態に対処するため熟練したリーダーがいなくても「VEが短時間に効率よく展開できる方法」を研究したところ,3時間で一応の結論が出せるようなVE手順を開発して,実用化することができた。
むろん,3時間で最良の改善案が得られるとは考えられないが,企業のおかれた環境の中でVEを行うためには,BESTよりBETTERをねらうという考え方に立ってこの手法を開発した。以下に手順にしたがって説明し,続いて実践活動を報告します。
目次
- 1. はじめに
- 2. VEへのアプローチ
- 3. VE手法導入の問題点
- 4. 適応性を求めるための解決方法
- 5. 3時間VEの構成と進め方
- 6. 3時間VE実施例
- 7. おわりに
発行年
1973年 VE研究論文集 Vol.4著者
- フジタ工業株式会社
技術開発センター技術指導部 - 馬場勇
- フジタ工業株式会社
技術開発センター技術指導部 - 松原芳明
カテゴリー
- VEの適用局面
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