論文
従来,VE手法の企業内導入については,いくつかの議論がなされてきた。
日く,トップの支持と理解を得ること,VEは体験しないと身につかない,VE提案は採用のための説得も充分考慮せねばならないこと。等々である。
かって,ローレンス・D・マイルズは,その著書の中で「失墜の危険排除」についての見解を次のように記述している。すなわち「意志決定に必要な環境」の章で,「新しく価値のもっとよくなるものをつくりだすための組織は,通常1年以内で,十分に機能を発揮するように作りあげることができる。しかし,新しく価値のもっとよくなるものの研究検討で得た結果を効果的に実施に結びつけるための意志決定者の考え方を変えるのには,数年を要すると考えてもよい。」と一般的な企業内の姿をとらえ,その理由と対策を次のように述べている。
すなわち,コストダウンのための良い改善案を,現在の製品にもりこむための採用意志決定の場に際して,現状を変更することが,つねに反対されがちであるから,対策の第一ステップとして「変更に関連する人達の失墜とか,将来の失墜につながるような可能性のあることがらを,最少限にしておくための,できるだけの処置をすること。」と指摘している。
このような観点から,コストが急に下がることに対する関係者段階の失墜の歯止め策を考慮しているうちに,以下に説明するような,「適正購入価格のステップリスト」の骨格ができあがった。
できあがった結果をみると,失墜防止のための歯止め策としてばかりではなく,各種の立場からもステップリストとして使えそうなので,経営上よりの,新製品/量産の管理サイクルまで拡大し,まとめてみたしだいである。
目次
- 1. はじめに
- 2. 失墜防止の観点
- 3. 適正購入価格の考え方
- 4. 適正購入価格ステップリストの考え方
- 5. おわりに
発行年
1973年 VE研究論文集 Vol.4著者
- 川崎重工業株式会社
- 江崎通彦
- 川崎重工業株式会社
- 出利葉泰一
カテゴリー
- 購買VE
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