Value for Future(1)

  • 『論語と算盤』に目覚める

本会の瀬口龍一四代目会長は、「渋沢栄一の『論語と算盤』は良い本だから、ぜひ読みなさい」と折に触れてよくおっしゃっておられました。『論語』」にせよ『論語と算盤』にせよ、ぱらぱらと頁を繰っただけで読んだふりをしておりましたが、年を経るごとに「しっかり読まねばなぁ」と思うようになりました。

自宅で積ん読(つんどく)状態にあった『論語と算盤』を手にして再読したのが11月11日のことでした。読み進めていくと、巻末の「渋沢栄一小伝」に同氏は1931年11月11日に92歳で大往生を遂げられたと書いてありました。偶然とはいえ、日付の一致に不思議な思いがしました。

あらためて述べるまでもないことですが、確かにこれは良い本です。浅学の小生が、ここで『論語と算盤』の講釈をするつもりは毛頭ありませんが、渋沢栄一氏が説く「義利合一」をもとに、あれこれ思い浮かぶことを綴りながら自身の頭の整理をしていきたいと思い立ちました。

ほぼ独り言のようなもので、話はあちこちへ跳び取り留めのない内容になるかと予測されますが、お付き合いいただければ有難く、誤りがございましたらご叱正いただけると幸いです。

 

  • 若者たちの社会貢献意識

いきなり話が跳んで恐縮ですが、仲暁子氏の『ミレニアル起業家の新モノづくり論』(2017)という本に、次のようなことが書いてありました。「ミレニアル世代が消費的観点以上に面白いと思うのは、これまで人類が達成してきた、もしくは掲げてきた理想を全てデフォルトで刷り込まれているということだ。地球温暖化はいけないとか、男女差別はいけないとか、世界平和とか、そういういわゆる『ポリコレ』的価値観をある種ナイーブにインストールされて育っている。」

同じミレニアル世代の社会学者、古市憲寿氏の著書『絶望の国の幸福な若者たち』(2011)には、内閣府の2011年世論調査によれば、「二十代の若者の59.4%が社会のために役立ちたいと思っている」そうです。1983年調査では32%だったそうで、かなり増えています。東日本大震災の影響もあるのかもしれませんが、その後も社会のために役立ちたいと思う若者の割合は増えているようです。

意外と言っては若い方々に失礼ですが、「ふ~ん、そうなんだぁ」と、若い人たちに対する認識を改めてしまいました。言われてみれば、確かにそういうところはあるかなと思います。

 

  • 近頃耳にするSDGs

話はまた変わりますが、最近、SDGs(エスディージーズ)という言葉を耳にするようになりました。『アクセンチュア流生産性を高める働き方改革』(2017)という本の表紙にも「国連SDGsでも話題の『働き方改革』の核心」というキャッチコピーがありました。(写真参照)

 

SDGsとは何でしょうか? 国連創設70周年を迎えた2015年9月、ニューヨーク国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催されました。そこで150を超える加盟国首脳参加のもと、よりよき将来を実現するために今後15年かけて極度の貧困や不平等等を無くし地球を守るための計画「アジェンダ2030」が採択されました。この計画こそが「SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)」と呼ばれるものだそうです。

いきなり、話があちこちに跳びましたが、若者たちの社会貢献意識とSDGsがどのように結びつき、『論語と算盤』につながるのかについての説明は、次回に譲りたいと思います。

 

 

(2017.11.17 事務局・宮本)