心身を軽くする (2)   (ゆ)  No.74

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

さて、前回のブログで触れた、私の手術の事をどうして両親に知らせなかったかという理由ですが、実は父が重病で余命宣告をされていたからです。重い話ですみませんが、もう8年も前の事ですので。治療で色々な副作用も出て、どんどん痩せていって心身ともに辛いであろう父によけいな心配はかけたくありませんでした。母だけに知らせても、父に内緒にしておけるようには思えなかったですし、母自身も病気のデパートのような状態でしたので、私の病気や手術の事は両親には知らせない事にしました。

でも、実家に行く度に(幸い職場から歩いて15分ほどの場所なので週に2、3回程は立ち寄っていました)、自分の事より私の事を心配して『体は大丈夫か?気をつけるんだよ』と両親から言われていました。知らせない代りに、私は『うん、大丈夫、元気だから』と小さな噓をつかざるを得ませんでした。

さらに、私の手術予定日あたりが父の危ない時期だったので、もし葬儀になってしまったら私は手術を延期するつもりでした。が、結局、手術日の10日前に父は生家の畳の上で77歳で亡くなり、他界する時を自分で選べるはずもありませんが、重ならないようにしてくれたような気がします。また、父の事があったせいで私の手術への恐怖はどこかへ追いやられ、亡くなった後は入院準備で慌ただしかったので感傷に浸る暇もなかった事はせめてもの救いになりました(もし、順番が逆だったら、心がずっと重かったと思います)。

1年前のブログでも少し触れましたが、父の亡くなる2ヶ月前には喜寿のお祝いという事で親族一同で温泉旅行にも行く事が叶って、父はもちろん皆が幸せそうでした。その時に初めて父の乗る車椅子を少し押しましたが、すごく重かった事を覚えています。車椅子が必要なご家族を介護する方というのは、心も軽くはないと思いますが、こういう重みも日々感じていらっしゃるのだろうなあと思いました。

そういう重みを少しでも軽くしてくれるのは、そのご家族の笑顔や感謝の気持ちなのではないかと思います。私の両親は、ちょっとした事をしてあげるだけでも『ありがとう、ありがとう』と口癖のように繰り返していましたが、もし、自分が介護される立場になったら介護してくれる人達への感謝の気持ちを忘れてはいけないよと身を持って教えてくれていた気がします。

『父母の恩は山よりも高く海よりも深い』という諺がありますが、父が亡くなった5年後の2014年に「山の日」という新しい休日が制定され2016年の8月11日に施行されました。実は、この「山の日」は父の命日でもあり、たまたま休日になったのですが、記憶力がよくない私でも覚えておけるようにという天の計らいかもしれません。

ちょうど1週間後の「山の日」の後にはお盆休みの方も多いと思います。帰省される方もいらっしゃると思いますが、ご両親には、できるだけお会いになったり、会えなくても電話をかけて元気な声を聞かせて差し上げたりするだけでも喜ばれると思います。『親孝行したい時に親はなし』というのは本当です。それに、「親孝行」って親や自分の心も軽くしてくれるものかもしれません。そして、親孝行のついでに、自分の原点・ルーツなども聞ける方がおられる内に聞いておく事もお勧めいたします。

原点と言えば、当会では、8月30日(水)に「VEの原点的思考 (機能分析中心)開発設計のVE」セミナーを開催いたします。「VEとコストダウンの違い」や「機能的研究の方法論」、「機能系統図とFAST」など、VEの核心となる部分をケーススタディと演習で学べます。お申し込みの締切りは8月23日になります。(https://www.sjve.org/10064

では、よい週末をお過ごしくださいませ。  (ゆ)

 

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