タイ自動車人材育成プロジェクトは、2007年に締結された日タイ経済連携協定(JTEPA)に基づく協力事業の一つで、2011年よりVEを含む5分野で実施されています。狙いは、日本人専門家や日系自動車関連メーカーの協力の下、タイの自動車部品製造企業のエンジニアに対して教育訓練ができるタイ人のマスタートレーナーを養成することです。日本側は経済産業省・JETRO、タイ側は工業省・タイ自動車研究所が主体となり運営統括しています。
VEの基礎セミナーは2012年から実施されていましたが、2014年、新たに自動車企業の様々なVE活動事例への理解と体験を通じてVEトレーナーとしての実践力を身に付ける「VE事例研修」が始まりました。
当会はJETROバンコク事務所から依頼を受け、同研修の講師を派遣紹介しております。
今回は、タイの拠点でVE教育と実践、そしてテアダウン活動に積極的に取り組み、現在15名のVEL資格を持つタイ人ローカルスタッフが中心となってVE活動を展開するいすゞ自動車に依頼し、原価企画部 VE推進グループの桑原 学氏VESが講師を担当されました。
<写真1>講座の風景 | <写真2>参加メンバー |
「VE事例研修」の内容は次のとおりです。
① 自動車企業でのVE活動事例の説明
② 自動車部品でのVE実施事例の紹介
③ 自動車の部品を使ったワークショップの実施(チームとして2つのVE提案をまとめる)
2014年9月29日~10月3日に行われた研修の受講者は官民学合わせて25名で、受講後、
「自社製品の競争力強化に非常に有効と感じた。」「全ての業務プロセスに適応できる普遍的な手法と思う。」「設計構想段階に使いたい。」「自社内にVE推進組織を作りたい。」等、VEの有効性を実感した感想を残されました。
経済産業省によると、本事業はタイ政府の関心が高く、その中でもVEに対する期待が大きいそうです。
今後、タイ自動車産業の人材育成とVEの普及定着によって、タイ経済の更なる発展と日タイの経済連携がますます期待されます。