こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。
先月のブログで名前に秋が入っている萩や秋桜の写真を掲載しましたが「秋明菊」もあります。下の写真は近所で撮った秋明菊ですが、花が菊に似ているのでこの名前が付けられたとか。実際にはキク科ではなくアネモネと同じキンポウゲ科で、花びらのように見えるのは萼片が大きく変化したものだそうです。
Japanese anemone 2022.10 photo by y★u
菊も秋だけでなく日本を代表するお花ですが、鑑賞用、虫よけ、消炎、心身のデトックス、食用等々、前回にご紹介した竹と同様に様々な機能を持っていて、VE的にも価値の高い植物だと思います。更に、竹は生垣や床や籠になったりと変幻自在な素材ですが、廃棄される果物の茎や葉、規格外の野菜等もファッション業界で素材として注目を集めているとか。バナナの茎やパイナップルの葉等から繊維を取り出して新たな生地にしたり、ジュースやジャムを作る過程で廃棄されるリンゴでバッグや靴を製造・販売したりしているそうです。
一方で、7年程前から南米チリの砂漠に世界中から着古した衣類10万トンが不法投棄され、「衣類の墓場」とも呼ばれる光景が広がっているという新聞記事を読んだのですが、その膨大な衣類の山の写真がずっと頭から離れませんでした。国連の2019年の報告等によれば、衣類の年間生産量は2014年に1000億着に達し、2000年から倍増したそうです。急増の原因の一つがファストファッションで、大量生産によって製造コストを下げる一方で、大量の売れ残りや短期間での廃棄につながっているとか。
世界の温室効果ガス排出量を業種別にみると、ファッション業界が8%を占め、更に毎年約50万トンもの極細の化繊「マイクロファイバー」が結果的に海洋に投機されているため、SDGsを掲げる国連は『ファッションの流行を追うことは値札にある価格をはるかに上回るコストがかかる』と指摘し、使い捨ての文化を絶つべきだと訴えているそうです。
2020年に国内で供給された衣服81.9万トンの内、推計51万トンが廃棄され、再利用やリサイクルは27.7万トンに過ぎず、服1着ができるまでに排出されるCO2は平均約26㎏(500㎖のペットボトル約255本分の製造)に相当するとか。1着に使われる水は約2300ℓだそうで、膨大な資源が使用されるばかりか約6割が廃棄されていることになります。そこで、消費者庁と経済産業省、環境省はサステナブルファッションに向けた連携会議を設立し、ファッションロスの削減や消費者の意識改革に向けて働きかけているそうです。
循環型ファッションを意識しない企業は生き残れない時代になっているそうで、フランスでは今年1月に衣服の廃棄を禁止する法律を施行。同様の法規制は2023年以降、オランダ等の欧州各国で導入される予定だとか。世界的なブランドグループでも、包装に使い捨てプラスチックの使用をやめる目標を立てたり、新素材の研究開発を目指したり、不要な衣類の回収を進めたりしているそうです。大量生産・大量消費・大量廃棄によって環境負荷が高いとされるファッション業界が、ムダをなくして新しい価値を創造している取り組みはVEに通じる考え方だと思います。
さて、本日は「ユネスコ憲章記念日」で、1946年11月4日にユネスコ憲章が発効し、「国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational,Scientific and Cultural Organization:ユネスコ)」が発足し、日本は1951年に加盟。ユネスコ憲章の前文は、「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」で始まるそうです。
今年、当会の第七代会長に就任いたしました鈴木祐司は、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟理事長でもあり、11月一杯配信されていますVE全国大会にて「Value Engineering から Value Designへ」と題した講演もしております。他にも、今、求められている持続可能で平和な社会の実現に向けた数々のプログラムが配信されます。お申し込みは11月27日までできますので、この機会にご覧になってみてはいかがでしょうか?(https://v2.nex-pro.com/sjve)
では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)
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