こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。
秋は実りの季節ですね。先日、私の母の実家を継いだ従姉妹から新米が送られてきました。彼女は保育士さんの仕事と兼業でお米も作っていたのですが、数年前から農業に専念しています。『農薬や化学肥料に頼らず、自然の力と一緒に育てた「コシヒカリ」です。お口に合えば幸いです』と書かれた可愛い手紙やお菓子も同封されていました。下の写真のような農作業の様子もメールで送ってくれました。家族総出で丹精込めて作られたお米はとても美味しいのですが(群がる白鷺が証明してくれています)、1年がかりの稲作は大変な労力を要するものだと改めて思いました。
Rice farming 2022.5、7、9 photo by H.G.
食料自給率が40%を切っている今の日本では、農業に携わる方々のそういう労力が報われているとは言えないようです。敗戦後、「栄養改善」された日本人は欧米型の食生活が豊かで望ましいと考えるようになり、弥生時代以来、作り続けてきた主要作物を蔑ろにするようになってしまい、2011年には、1世帯あたりのお米の消費額がパンの消費額に追い越されてしまったそうです。
「食」の基盤を担うはずの日本の農業の先行きは不透明という現状だからこそ、農業をやっていく方法が模索され、最近は有機農法や自然農法が実践され始めているとか。日本の農業の将来のために、農業に喜びや誇りをもって働くというモチベーションの創出も強く求められているそうです。また、小麦の価格が上がってしまっている今、お米が改めて注目されつつあるようですが、従姉妹を始め農業に携わる方達の努力が報われる世の中になって欲しいと思います。
そして、私達も大事に作られた食物を感謝して頂くことが大切だと思いますが、ここ数年、「食品ロス」という言葉をよく見聞きします。これは、「まだ食べられるはずの食品を捨ててしまうこと」ですが、「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」の2種類があるそうで、単に「食品がもったいない」では片付けられない「飢餓」「経済」「環境」等の問題も抱えているそうです。
農林水産省及び環境省の「令和2年度推計」によれば日本で発生している食品ロスは約は522万トンで、国民一人当たりに換算すると、お茶碗約1杯分(約113g)のご飯が毎日捨てられていることになるとか。また、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2020年で年間約420万トン)の1.2倍に相当し、世界的に見ると食の不均衡が起こっているそうです。
更に、廃棄食品の焼却や埋め立てには多くのエネルギーが使われ、CO2の排出や土壌・水質汚染といった環境問題も起こっている上に、それらに伴う人件費等のコストの問題もあるそうで、大切な資源の有効活用や環境負荷への配慮からも、食品ロスを減らすことが必要だとか。日本は2030年度までに、2000年度比で家庭系食品ロス・事業系食品ロスともに半減させるという目標を掲げており、273万トンまで削減する見込みだそうです。
このことは、国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえた取り組みとされ、SDGsの中では主に「2 飢餓をゼロに」と「12 つくる責任つかう責任」に該当するそうです。日本の取り組みとしては、「食品リサイクル法」や「食品ロス削減推進法」といった法整備を始め、毎年10月を食品ロス削減月間と定め、10月30日を「食品ロス削減の日」として制定してイベント等を開催しているそうです。この日の翌日の31日はハロウィンですが、発祥は2000年以上も前で、ヨーロッパの古代ケルト人が行っていた秋の収穫感謝祭が起源だとか。私達は、秋の収穫に感謝すると共に食品ロスのことも考えながら無駄のないよう美味しく頂きたいものですね。
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では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)
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