環境を守る(3)  (ゆ)  No.320

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

今年は、セミが鳴き出すのが遅かったように思いますが、その分、長く鳴いているような気がします。我が家のベランダには様々なお花があるせいか、セミのような虫や鳥達がよくやってきます。下の写真は、そんな一コマを撮った16年前の今頃のものですが、アゲハ蝶とデュランタ・タカラヅカというお花です。

Flowers and a butterfly  2006.8  photo by y★u

初夏から秋まで次々と花を咲かせるデュランタは、とても丈夫で霜に当たらなければ屋外で冬も越せるそうで、日当たりの良い環境が大好きだそうです。私は、こういう花々への水やりや洗濯物を干すためにベランダに出ていますが、「あれっ、いつもと空気が違う!」と思うほど空気を美味しく感じたのが、2020年にパンデミックで初めて緊急事態宣言が出された直後でした。ロックダウンという対策を取った国々もあり、工場等の操業停止や飛行機を始めとした乗り物等の運行停止のせいもあると思うのですが、明らかに宣言の前後では空気が違っているのを実感しました。

地球の大気は、産業革命以降、人類が排出した物質によって急速に汚染されつつあるそうです。この数年、ウイルスの感染原因の一つとしても、よく耳にするようになった「エアロゾル」ですが、気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子のことで、雲粒の凝縮核となり雨を降らせる機能や日射を遮る効果もあるとか。

『地球と環境のはなし』(稲場秀明著)という本によれば、近年の化石燃料の大量使用により、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)、光化学スモッグ、PM2.5等のエアロゾルによる環境問題が生じているそうです。最初に顕著な公害問題が生じたのが、今から70年前、1952年のロンドンスモッグ事件で、大気汚染による死者は1万人以上。原因は火力発電所や暖房用に石炭を大量に使った結果、石炭に含まれる硫黄から出た二酸化硫黄が高濃度になったことだそうです。

日本での大気汚染が原因の公害問題としては、1960年代に発生した四日市ぜんそくがあり、石油化学を主体とした四日市コンビナートの排気ガスに含まれる有害物質が原因とされたそうです。その後、対策として、四日市に限らず全国でも工場に脱硫装置が取り付けられ、収束に向かうかに見えたものの、高度成長による化石燃料の大量使用や自動車保有の急速な増加もあり、大気の複合汚染の問題は解決できていないとか。更に、ロンドンスモッグ、四日市ぜんそくの延長線上に、中国の大気汚染の問題があるので、日本は今までの経験を基に、複合汚染の問題を含めて、中国の大気汚染の解決に協力すべきとのことでした。

大気がなければ、生物は生命を維持できませんし、その大気も汚染されていれば健康は維持できません。前々回のブログで、「宇宙船地球号」のお話をしましたが、ボールディング氏が示唆された『自己の利益を主張し合い、船内の生命維持装置を破壊して、共滅するような誤りを犯さないように努力し、生態系の維持に努めるべき』という言葉を忘れずに、世界各国の人が協力して環境を守るスペシャリストになるような気概で対応していくことが必要とされている時ではないかと思います。

環境を守るためにVEも役立てていただければと思いますが、当会では「VEブラッシュアップ講座」を、9月27日(基本編)、10月17日(短文記述編)、10月24日(論述編)の3回にわたってオンラインにて開催いたします。VEスペシャリスト資格の取得を目指す方にお勧めの講座ですが、お申し込みの締め切りはそれぞれの受講日の10日前となります。この機会にVEスペシャリストを目指されてみてはいかがでしょうか?(https://www.sjve.org/25022

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

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