星を愛でる(6)  (ゆ)  No.315

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

先週7月14日の満月は「スーパームーン」と言われ、今年最大の満月だったそうですが、ご覧になりましたでしょうか?月は地球から約38万kmと一番近く、大きさは地球の約4分の1、重さは地球の81分の1ほどの天体で、人類が地球以外で降り立ったことのある唯一の星でもあります。地球の衛星である月は私達の生活に様々な影響を及ぼしていますが、「お月見」という行事等があることからも分かるように人々から愛でられてもいる星だと思います。

もう20年以上前のことですが、石川賢治さんという写真家が、この月の光だけで撮ったという写真の展覧会に行ったことがあります。写真の歴史150年にして初めて試みられたという月光写真ですが、石川氏は下の写真の「月光浴」という写真集で、『多くの人たちと、私の見た月の光で見る地球の風景を分かち合うことに意味があるように思えたのです。…月光の下で大自然の中を歩くと、教わることの多いことに驚きます。その教えを受け止めながら、満月の旅を続けていくつもりです』と述べられていました。

  Kenji Ishikawa’s photo collection 2022.7 photo by y★u

もう一つの「満月の花」も、太陽光の46万5千分の1の満月の光だけで撮影されたそうですが、暗い夜に浮かびあがる花々の、昼間とはまた違う神秘的な一面を眺めているだけで癒され、体感温度も少し低くなるような気がしますので、暑苦しくて眠れない夜等にはもってこいだと思います。石川氏は『自分が、太陽の尺度だけでものを見、考えてきたことに気付かされました。月光写真は、その観念を壊し、もう一つの物事の見方に気付かせてくれます』と述べられていますが、どこかVEにも通じるものがあると思いました。ちなみに、ここでご紹介するにあたり、改めて検索してみましたら、石川氏の新作写真集「月光浴 青い星」が紹介されていて、ここでもまた「星」が出てきました。(http://gekkouyoku.com/

今月には、星にまつわる七夕がありましたが、月にまつわる物語というと「竹取物語」が有名です。平安時代初期に作られたそうですが、成立年は不明で原本は残っておらず、写本では室町時代初期に後光厳天皇が筆した古筆切数葉が最古だとか。現代では、かぐや姫が月から来た人物として描写されていることから、「日本最古のSF」だとする見方もあるそうです。

竹取物語の作者は読み書きができ、和歌の才能や貴族の実情に対する知識もあったことから上流階級の人物と考えられており、かぐや姫に求婚した5人の貴公子は、実在の人物がモデルとなっているそうです。物語では、育ての親である翁と媼は、かぐや姫が月に帰ってしまった悲しみから病に伏してしまい、帝も、かぐや姫がいなくては不死の薬も意味がないと、天に一番近いと言われる駿河の山で、かぐや姫から送られた手紙と不死の薬を焼きます。それらを焼く時、帝が大勢の兵士を引き連れて山に登ったことから、以降、その山を「兵士が富む」と「不死の薬」をかけて、富士の山(不死の山)と呼ぶようになったとか。

月は仏教や浄土信仰において、阿弥陀如来のいる極楽浄土の世界であり、地上は煩悩の多い穢土とされ、竹取物語でも、この極楽浄土の世界観が反映されており、地球は穢土、月は極楽浄土として描写されているそうです。色々な思惑が込められているにしても、月を愛でて、月に想いを馳せながら書かれたお話だと思います。そして、原本はなくても、後光厳天皇による写しがあったことで、1000年後の世にも伝承された訳ですから、書き残しておくことはいつの時代でも大事なことではないかと思います。

当会では、8月2日に「経営者を納得させるVE提案書の書き方」講座をオンラインにて開催いたします。本講座では、VE活動の成果を経営に必要な数字を使って分かりやすく説明するための知識を体得します。お申し込みの締め切りは7月26日となりますので、この機会に参加されてみてはいかがでしょうか?(https://www.sjve.org/24728

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

 

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