伝統を受け継ぐ(6)  (ゆ)  No.293

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

明日は「建国記念の日」ですね。『日本書紀』では、大和国の橿原宮(奈良県の橿原神宮)にて、初代の神武天皇が即位したと言われる紀元前660年2月11日をもって日本の建国とされているそうです。今上陛下は127代天皇ですから、日本は歴史上一度も王朝交代が起こっていない世界で最も古い国で、皇室は世界でも最も長く続く王朝となるそうです。長い歴史を持つ日本ですが、源流をたどれば古墳時代にまで遡る伝統の一つに「西陣織」があります。「西陣織共同組合」によれば、5、6世紀頃、渡来人である秦氏一族が今の京都・太秦辺りで養蚕と絹織物の技術を伝え、飛鳥・奈良時代を経て西陣織の基礎が築かれたとか。その後も中国・明の技術を取り入れてすぐれた織物を生み出していったそうです。

でも、江戸時代の度重なる飢饉や大火、明治時代の首都移転等で勢いを失うというピンチもあったとか。ただ、昔から海外の先進技術の導入に積極的であった西陣では、文明開化のチャンスにいち早く呼応して近代化に成功し、大正・昭和には高級絹織物の大衆化を進めると同時に、伝統的な手織技術の高度化や図案・デザインの洗練にも努めたそうです。現在では、製品の用途の拡大にも努め、伝統的な帯地や着物に限らず、格調高い優れた製品を生産し、壁掛け等のインテリア用途の製品が帯地に次ぐ生産額を占めるほどになっているそうです。

先日、テレビで西陣織の職人さんが、『伝統というのは革新の連続。新しいものを自分が生み出していかないと歴史はつないでいけない。絶えず進化させていくことの足を止めた瞬間に僕は引退ですわ。昨日の失敗を糧にして次の日はもう1歩踏み出していく。昨日よりも今日、今日よりも明日、その歩みだな。毎日が』と語られていたのですが、強い信念を持たれた職人さんの気概が伝わってきました。

京都は他にも様々な伝統を持つ世界的にも有名な都市ですが、下の写真は京都に行く度に主人が買ってきてくれるお干菓子です。柏庵(http://www2.odn.ne.jp/kashiwaan/)というお店のもので試食もできるそうです。右の箱のものは伝統的な松竹梅や亀甲といった意匠ですが、左の箱のものは子供達が喜びそうな形と味にしてあり、下段のお菓子にいたってはチョコレート味です。こういう所も顧客に合わせて新しいものを取り入れているのだと思いますが、どちらも美味しいです。

       Ⅾry sweets 2022.1 photo by y★u

チョコレート味と言えば、来週はバレンタインデーがありますね。日本でのバレンタインデーの始まりには諸説あるものの、いずれも企業が商業目的で普及させたとか。一番古い説が1936年のものだそうですが、当初は「想いを伝える」という機能を果たしていたようですが、今は美味しいチョコレートを自分用に買う方も多いそうで、その目的も多様化しているようです。

私の友人のお嬢様が、旅先で見つけたとびきり美味しいものを販売する「せかいいち」(https://sekaiichi.myshopify.com/)というウェブショップを運営されていて、伝統的な手法で作られたチョコレートが美味しいです。店名の意味の中の一つである『 世界は「ひとつ」の一(いち)、生産者とフェアに取引するのはもちろん、生産者の情報や想い、私達が実際に見て触れて感じたことを伝えることで商品を買っていただく方に「世界は一つにつながっている」と感じていただけるようにすること』というコンセプトが特に素敵だなあと思いました。

1947年にアメリカで誕生したVEも伝統のある管理技法で、今や20か国以上の国々に広まり、世界を一つにつなげる機能を果たしてくれているのではないかと思います。養蚕や織物同様、優れた技法として日本に渡ってきたのは1955年で、以来、様々な業界で活用され続けてきました。是非、業務の革新に利用されて受け継いでいっていただければと思います。

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

 

 

 

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