伝統を受け継ぐ(3)  (ゆ)  No.290

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

前回のブログで家紋についてご紹介しましたが、庶民層まで家紋の使用が盛んになったのは江戸時代で、その頃、身分を問わずに人気を集めた娯楽が歌舞伎。現在では、日本の代表的な伝統芸能として名高い歌舞伎ですが、当時は実際に起きた事件を題材にした大衆演劇だったとか。家紋ならぬ座紋といわれるものもあり、歌舞伎座の座紋は「鳳凰丸」だそうで、鳳凰は古来中国では、麟・亀・竜と共に四端として尊ばれた想像上の鳥で、とてもめでたいとされているそうです。

一度は見ておきたいと思っていた歌舞伎ですが、ちょうど3年前の今頃、叔母から「寿初春大歌舞伎」のチケットをもらって初めて行くことが叶いました。今は、感染対策の一環でチケットも抽選だそうですが、まだ何も気にしないで観劇ができた頃でしたので、舞台以外のことも色々と観察できて面白かったです。お客さん達の服装とかお弁当(休憩時間が思ったより短いこともあり、私はお寿司の折詰めを持参しました)等も人それぞれで興味深かったです。

Kabukiza Theater 2019.1 photo by y★u

子供の頃は、お芝居というと、母に連れていってもらった木馬座や、祖母に連れていってもらった明治座がありましたが、やはり歌舞伎は大人が楽しむお芝居という感じでした。初めてなので、レシーバーを借りて解説を聞きながらの観劇でしたが分かりやすかったです。前から18番目の席でしたので、すぐ目の前で歌舞伎役者さんが演じている訳ではないのですが、やはりライブの迫力は違いましたし、一番印象的だったのは女形の中村七之助さんの手の表情でした。

歌舞伎は「見得を切る」際の表情に特徴がありますが、中村七之助さんは指先1本1本にも神経が行き届いていて、手でも表情以上の演技をされているかのようで、白くて女らしい美しい手の動きに目が釘付けになってしまいました。恐ろしく重いであろう衣装を着て、セリフを言いながら、指先の動きまで神経を行き渡らせるなんて凄いなあと思いました。

歌舞伎では、いい役者の条件として、「声」すなわち「セリフ回し」がとても重要だと言われているそうですが、手の演技も重要なのではないかと思いました。発声や所作といったものも歌舞伎役者の家々に代々受け継がれてきた伝統芸なのだと思います。

今は以前より行きにくくなってしまった歌舞伎ですが、手軽に楽しめる手段もあります。「体感!日本の伝統芸能」という歌舞伎の舞台も体感できる展覧会が1月7日から3月13日まで東京国立博物館で開催されているそうです(https://tsumugu.yomiuri.co.jp/dentou2022/)。ユネスコ無形文化遺産に登録された歌舞伎、文楽、能楽、雅楽、組踊の美と技を紹介する特別展だそうですが、歌舞伎の舞台が再現され、衣装や小道具も展示され、日本を代表する伝統芸能を、錦絵や映像、音と共に体感できるそうですのでお勧めです。

まだ外出が心配な方には、オンラインという手段もあります。私は、昨年の秋、オンラインのライブ配信で市川海老蔵さんの歌舞伎を楽しむ機会があったのですが、次々と移り変わる七変化の様子は小さな画面でも大迫力で見応えがあり、時間が経つのを忘れるほどでした。やはり感情を表す手の演技も素晴らしく、その熱気が画面越しに伝わってくるようで、ライブで観劇した中村七之助さんとはまた違った魅力がありました。

歌舞伎の創始者は、様々な伝統が受け継がれていった未来においてオンラインで配信されることなど想像もしなかったと思いますが、伝統を受け継ぐためには、その時代時代に応じて新しい手法を取り入れていくことも必須なのかもしれませんね。

当会では、2月18日に「VEと原価企画~~新しい取り組みで持続可能な未来を~」をテーマとした第53回VE関西大会を会場とオンラインで同時開催させていただく予定ですので、ライブでもオンラインでもご都合のよろしい方でご参加が可能です(新型コロナウイルス感染拡大の状況により、来場参加を中止し、完全オンラインにて実施させていただく場合もあります)。お申込みの締切りは2月11日となりますが、当日にご視聴いただけなかった場合でも、2月21日から28日までオンデマンド配信でご覧いただくことも可能ですので、この機会に参加されてみてはいかがでしょうか?(https://www.sjve.org/23244

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

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