こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。
10日程前の読売新聞の「時代の証言者」というコーナーで、ファッションデザイナーの森英恵さんが紹介されていました。大学を卒業して専業主婦となった後に洋裁学校に通い、1951年に新宿に小さな洋装店を開店。ファッションは暮らしを豊かにする文化で、デザイナーは時代の風を感じ取り形にして夢を与える仕事と信じて「日本の美」を発信し続けてこられたそうです。
『自分とは何か、自分自身であり続けるにはどうあればいいのかを考えながらものづくりに取り組んでいるうちに、気がついたら仕事が国境を越えていました。日本という東洋の美を西洋に投入し、西洋の美を東洋に投影する。この相乗作用を追い求めてきたようにも思います。私自身のアイデンティティーと世界の中での日本のアイデンティティーを考え、表現し続けてきたのかもしれませんと』と語られていました。
1926年生まれの森英恵さんは、1953年に見たクリスチャンディオールのオートクチュールのファッションショーに感銘を受け、美しい服はどんな時にも人々に夢を与え、幸せな気分にしてくれると考え、究極の美の世界にこだわり続けてこられたそうです。そして、1977年にはパリのオートクチュールコレクションに参加、1996年に文化勲章も受賞されました。彼女の表現されるファッションが国内外で認められた訳ですから、素晴らしいことだと思います。
オートクチュールでなくても華やかなファッションショーを見ていると、各ブランドがしのぎを削っていて、一種の芸術のような感じさえしますが、実用性よりデザイン性が重視されている服が多いですよね。「洋服を作る」という関連で、今、私が一番気に入っているのがNHK Eテレの「ソーイングビー」というイギリスの番組です。
10人程の裁縫好きの一般の出場者達が、課題の服を数時間で作り上げていくという内容ですが、平面の布が糸と針でみるみるうちに立体的な洋服に姿を変えていく様子にワクワクします。時間はもちろん、使っていい布、家の中や街中でも、ちゃんと着られる服であることといった制約条件のもと(時間にもっと余裕があれば綺麗に仕上げられる方ばかりだと思うのですが)、審査により優秀作品の人と最下位で退場させられる人とが決められます。
技術はもちろん、材料の選び方、創意工夫、時間配分等々の要素が必要とされるのはVE活動も一緒だと思います。型紙通りに作る課題の際には正確性も求められます。既製品のリメイクをして服を蘇らせる課題の際には独創性も求められますが、限りある資源の再利用というのは今の時代にも合っていて、何かのヒントになるかもしれません。最後に勝ち抜いた一人が優勝する際には、次々に脱落していったかつての仲間達とかご家族も集まってお祝いするのですが、幸せそうな優勝者を囲んで本当に皆で楽しそうで、観ているこちらまで楽しい気分になります。
私は、布に糸を刺していくだけで様々なものが表現できる刺繍が好きで小学校6年生の時は手芸部でしたが、お裁縫の方は出来栄えがもう一つでした。どういうデザインにするのかとか、生地を選んでいる時は楽しいのですが、買った方が早いのでブラウスとかワンピースを縫ったのは中学校の家庭科の課題の時だけでした。ただ、刺繍や編み物はずっと好きで、20代の頃は作品をプレゼントしたりしていました。下のクッションカバーはそんな作品の一つですが、クロスステッチ刺繍の場合は、根気は要るものの方眼紙の目を指定どおり×印で埋めていくような感じですので難しくはありません。
こんなカバーも買ってしまった方が早いのかもしれませんが、そこにはやはり自分で表現できたというものづくりの喜びと達成感がありました。こういう手芸作品も洋服も、言葉で説明するよりお見せした方が早いですよね。VEr.の方には釈迦に説法ですが、VEでは、モノやサービスの機能を「○○を~する」と名詞と動詞で表現する「機能定義」というステップがあります。更に、次のステップである「機能の整理」の具体的な手法として「機能系統図」があり、図として表現することにより機能の系統が見やすくなります。もう一つ「問題反転機能系統図」という手法もあります。
当会では、この度、『VE活動における「問題反転機能系統図の活用」研修テキスト』を発行いたしましたので、どういう手法かは入手されてご覧いただいた方が早いように思います。研修会用テキストではありますが、身近な教科書として手元に置いてご利用いただくことにより、一人でも多くの方々がVEを理解されて活動に取り組まれ、限りある大切な経営資源としての人的資源の価値を高め、ひいては産業・経済の発展に寄与できるものと考えておりますので、是非、ご活用ください。(https://www.sjve.org/shop/23187)
では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)
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