こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。
「秋の花」というと金木犀が頭に浮かびます。上の写真は一月程前、通勤途中に撮ったものですが、写真からだけでもなんとなく香りが想像できませんか?思ったより開花時期の短い花ですが、そのいい香りとオリーブの小さい花に似ている所から「fragrant olive」ともいわれるそうです。「fragrance」は「香り」ですから、ふさわしい名前だと思います。少しひんやりしてきた秋の季節に、オレンジの花の色も小さな温もりを感じさせてくれる気がします。写真の左上の線は電線なのですが、ちょうど五線譜のようで音学的才能のない私でも何か音符を書き込んでみたくなります。
前回のブログで、聴覚に障がいを持つ方でも楽しむことができる「身体で聴こう音楽会」というパイオニアさん主催のコンサートを紹介させていただきました。この音楽会のように「ボディソニック」というシステムが機能する環境が身近にあれば理想的ですが、普段の生活環境の中で、耳の不自由な方が困る場面も少なくありません。テレビ番組で見かけたのですが、リモートの授業の音声が聞きづらくて苦労されている聴覚障がい者の方が紹介されていました。
そこで、登場したのがバリアフリースピーカー「ミライスピーカー®」という、蓄音機の「高齢者でも音がよく聞こえる」という機能に着目した製品で、サウンドファンさんというベンチャー企業が開発されたそうです。音の輪郭がくっきりして地声のように耳にストレートに入ってくるので、聞こえ方が改善されるとか。高齢者の方が特に聞こえにくい高音域の音を広範囲にしっかりと届けることができ、テレビの横に置くだけで、災害速報等を始め、色々な情報も聞こえやすくなるとのことですので、実生活に根差した顧客本位の製品といえると思います。
技術というのは日々進歩しているものと思いましたが、今はインターネットで公開されているデジタル音源も気軽に聞くことができます。国立国会図書館の保存している「歴史的音源」では、1900年(明治33年)から1950年(昭和25年)頃までのSP盤レコードの音源約5万点がデジタル化されているそうです。この内、約5500点が自宅のパソコンやスマートフォンから聞けるそうですが、ジャンルは、クラシック、民謡、小唄、流行歌、落語や講談、漫才、歌舞伎等と幅広く、更に歴史上の人物の肉声も聞けるとか。
ご興味のある方は聞かれてみてはいかがでしょうか?(https://rekion.dl.ndl.go.jp/)
ところで、五感の内、最後まで機能するのは聴覚らしいというのはご存じですか?
大阪大学教授の髙島庄太夫氏が自己体験をもとに、人間のもつ五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のうち最後まで健全に機能する感覚について考察されてみた所、聴覚は健全にかつ十分に機能していたとか。音は、外耳道から入り、鼓膜、耳小骨、内耳、聴神経、脳幹、側頭葉と刺激が伝わるので、脳血流が保たれていれば、随意的な運動機能をほぼ用いずに、機械的に容易に完遂される感覚機能であるといえるそうです。そこで、瀕死の状態もしくは意識レベルの低下した患者さんでも、周囲の人の声とその発言内容をはっきりと覚えているので、不用意な言葉は厳に慎むようにされているとか。そして、今後、大事な方の最期に立ち会った場合には、できるだけ感謝の言葉を述べようと思われたそうです。
世の中には実に様々な音があふれていますが、最期の時に限らず、できるだけ心地いい音を聞きたいものですよね。楽器の音としては、個人的にはハープやビオラの音が好きなのですが、オーケストラには他にも様々な音色の楽器があって、それぞれが合わさってハーモニーが生まれると美しい演奏になりますよね。音の多様性も人間の多様性もどこか似ていて、違う楽器、違う人間だからこそ共鳴したりして相乗効果が出てくるのではないかと思います。どこかVEの「チームデザイン」に共通するものもあるかもしれませんね。
では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)
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