こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。
今日から10月。街の中で見かける様々な色も夏の色から秋の色へと移り変わってきましたね。色と言えば、オリンピックのシンボルマークである五輪の色の由来をご存じですか?
オリンピックの創始者であるピエール・ド・クーベルタン氏が考案されたそうですが、青、黄、黒、緑、赤の色は、地色の白を加えると、世界の国旗のほとんどを描くことができるという理由で選んだとか。五つの輪が重なり合っているのは、全世界の人達が結束して行われる大会であることを示すとともに、全世界の人達がスポーツで手をつなぐことで平和への願いが込められているからだそうです。
パラリンピックのシンボルマークである「スリー・アギトス」も、1988年のソウル大会で最初に登場した時は五輪と同じ5色だったそうです。1996年のアトランタ大会から、世界の国旗で最も使われている色として、赤、青、緑の3色になったとか。「アギト」にはラテン語で「私は動く」の意味があり、困難に負けず、限界まで挑戦する選手の躍動感を表現しているそうです。
ただ、このマークやメダルの色も視覚障害を持った方達には分からないという当たり前のことを認識させられたのが、100メートルバタフライ(視覚障害)で金メダルを獲られた木村敬一選手(31)へのインタビューでした。メダルの金色を見ることができない彼が、世界1位になったことを実感できたのが、表彰式で国歌を聞いた時だそうです。その場面もテレビで観ていましたので、彼が表彰台の上で号泣されていた理由がよく分かりました。
先天性疾患により2歳で視力を失ったそうですが、『目が見えなかったり、手がなかったりしても、これだけのパフォーマンスができる。人間としての可能性を直接、訴えかけることができる』という自負を持たれていたとか。更に、『闇を泳ぐ~全盲スイマー、自分を超えて世界に挑む。~』という初の自伝まで出版されたそうです。執筆されたのは大会直前で、電子書籍化もされ、オーディオブックで聞くこともできるそうです。まさに有言実行の方だと思いました。
そして、目隠しした視覚障害の選手が、鈴入りのボールを転がし、相手ゴールに入れて競うゴールボールという競技があるのを初めて知りました。守備側は、鈴の音や相手チームの足音を頼りにボールのコースを選んでブロックし、攻撃側は、投球動作に入るまで様々な音を出して相手側をかく乱するそうです。ルール上、音の種類は決まっていなくて、足を踏み鳴らしたり、声を出したりしてもいいとか。
エースの欠端瑛子選手(28)は、彼女の父である元・プロ野球投手の光則さん(58)から『音を消して投げろ』とアドバイスされて、遠心力で鈴の音を聞こえにくくする魔球を磨いたそうです。体に当たると痛そうなボールなので、相手チームの選手達は怖かっただろうなあと思いますが、日本は見事、銅メダルに輝きました。
更に、ブラインドサッカーも、音を頼りにボールの位置や方向、速さ等を判断する競技で、ゴールキーパーを除くフィールドプレーヤーは視覚障害者でアイマスクを着用。相手側ゴール裏にいるガイドがゴールの位置や距離等を伝え、シュートを助けるそうです。日本は5位でしたが、初出場でこの成績は素晴らしいと思います。元・日本代表主将の落合啓士さん(44)は、『ブラインドサッカーは、障害者と健常者が、支え合ってゴールを目指すスポーツ。それは、社会で生きる上で欠かせないことでもある』と語られていました。視覚障害者の方の持つ「音を聞く」ための集中力は想像も及びませんが、研ぎ澄ますために日々努力されていらっしゃるのだと思います。
前々回のブログで、メダルの側面にくぼみ(金は一つ、銀に二つ、銅が三つ)をつけて色が分かるように工夫されていたことには触れましたが、首にかけるリボンの裏側にも、手で触れて種類が分かる凸凹があるそうです。2016年のリオデジャネイロ大会では、メダルの内部に小さな金属球(金は28個、銀は20個、銅は16個)が入れられ、振れば音が鳴る工夫が凝らされたとか。聞こえる音の大きさで種類を判別できたそうですが、この工夫も東京大会での工夫も、相手の立場に立って考えられたもので、やはりVEに通じるものがあると思いました。
たとえ健常者であっても、できないことなどたくさんあって完全な人などいませんし、決して綺麗な〇ではありません。障害の有無にかかわらず、お互いの凸凹を補い合って少しでも綺麗な〇に近づけていくことに価値があり、「共生社会」の実現につながるのかもしれませんね。
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では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)
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