こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。
東京オリンピックが開催されていた頃は夏真っ盛りでしたが、9月に入りすっかり秋めいてきましたね。東京オリンピックの卓球で、混合ダブルスで金、シングルスで銅、女子団体で銀と、目覚ましい活躍をされた伊藤美誠選手ですが、その活躍の陰には人一倍の練習量があったそうです。普通の女子選手なら2か月は使えるスポーツシューズの靴底の消耗が激しく、1か月で交換、猛練習で3週間で履きつぶしてしまうこともあったとか。改めて伊藤選手の健闘を称えたくなりましたが、見えない所での努力があればこその成果なのだと思いました。
一方、現在開催中のパラリンピックで、義手や義足を使う選手達は、体の一部であるため靴のように簡単に交換できませんし、それらにより勝負が左右されてしまうこともあり得ます。時にはミリ単位の精度が求められることもあるそうで、今回、約100人の技術者の方々が、『選手が最大限の力を発揮できるように』と、義足や車いす等の修理やメンテナンスを無償で行ったそうです。
スポーツ用の車いすは、普通の車いすと違って競技用の工夫がされていますが、中でも車いすラグビーは、パラリンピックで唯一、車いす同士がぶつかり合うコンタクトが認められ、その激しさから、欧米ではマーダーボール(殺人球技)の呼び名がつくほど、迫力とスピード感を誇る競技だそうです。鍛えている選手達とはいえ、いつケガをしてもおかしくない競技ですから、陰で支えてくださる開発者や技術者の方々のご健闘も称賛に値するものだと思います。
また、東京五輪・パラリンピックを機に、車いす利用者や高齢者が乗り降りしやすいユニバーサルデザイン(UD)タクシーの導入も進んでおり、国土交通省等によると、2014年に約600台だったUDタクシーは、2020年には22000台に急増したそうです。また、2017年にUDタクシーを発売した自動車会社は、2019年には業者側の意見を取り入れて改良を行い、63工程あった作業手順を24まで減らして、乗務員の負担軽減を図ったそうですが、これもVEといえると思います。
更に今回の大会開催を契機に、社会に根付くレガシー(遺産)となることを期待されてきたのが「バリアフリー化の進展」で、例えば、メイン会場の国立競技場周辺では、横断歩道と歩道の段差を小さくしたり、路面を削って歩道の勾配を緩やかにしたりする工事が行われたそうです。また、幅の広い歩道は、車いすやベビーカー等の利用者も人とすれ違いやすくなっており、バリアフリー化の効果や課題をしっかり検証し、普段使う道にも広めていくためにも今後の取り組みが大切とのことです。
今年の春の緊急事態宣言が出る直前に、国立競技場の最寄り駅の一つである地下鉄「青山一丁目駅」で友人と待ち合わせてランチを頂いたのですが、数年ぶりに訪れた駅は様変わりしていて驚いてしまいました。駅から青山通りへ出るための大型エレベーターが2基並んでいて、ずいぶん立派だなあと思ったのですが、これは東京メトロが大会に合わせて設置した20人乗りのエレベーターで、大きな1基にするより効率的に人を運べるそうです。更に、車いすやベビーカーを使う方、大きな荷物を抱えた旅行者といった使用者優先の視点で考えられているエレベーターのようです。
1年程前にも久しぶりにJR山手線「原宿駅」に降りたのですが、2020年3月に完成した新しい駅舎は、車いすも通りやすいように通路等の面積が約3倍に拡張されたそうで、確かに広々として移動がスムーズにできるように改善されていました。
一方で、鉄道以外の公共交通機関でのバリアフリー化はまだ道半ばだそうで、2019年時点でノンステップバスの導入率は全国で約6割、前述のUDタクシーも増えたとはいえ、全体の1割程度だそうです。まだ都市部のように進んではいない地方をどうするかという課題もあるとのことですが、それでも、今回の大会を機にバリアフリー化は進んだといえるのではないでしょうか?
どうしても大会の華やかな表舞台にばかり目が行きがちになってしまいますが、大会の開催準備、ひいてはバリアフリー化等に陰ながらずっと携わってこられた様々な関係者のご健闘も称賛すべきものだと思います。
緊急事態宣言が続く中、外出もまだままならない方も多いことと思いますが、そんな時は、ご自宅で学べる通信講座等にチャレンジされて、見えない所での努力を成果に結びつけてみられてはいかがでしょうか?当会では、次代を担うバリューデザイナーの育成に向けて「はじめての企画・開発メソッド~0 Look/1st Look VE~バリューデザイナー3級コース」通信講座を開講しておりますので、是非ご活用ください。(https://www.sjve.org/21866)
では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)
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