こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。
今までのブログでお話ししたように、子供の頃から本が好きだったので図書室は宝庫のように思えましたし、公共の図書館もよく利用しました。大学では、私が専攻した英米文学科以外に図書館司書の講義も受けることができましたので資格も取りました。更に、専攻以外の学科の授業を2単位まで取れるという制度もありましたので、日文科の授業を一つ選んで受講してみました。
それは、源氏物語の「宇治十帖」を古語辞典を引きながら原書で読むという授業でしたが、流れるように綺麗な「変体がな」の教科書と共に、「奥ゆかしい」という言葉の解説が今も印象に残っています。語源は古語の「奥床し(おくゆかし)」で「(控えめなので奥まで)もっとよく知りたい」という意味だと教わり、日本語ってそれこそ奥が深いと思いました。
日本には世界的文学作品として高く評価されている源氏物語を始め優れた古典の数々がありますが、やはり大学時代の「文学」の授業で、教授が『ベストセラーは良書にあらず』と言われていたのが気になり、講義後に質問したことがあります。うろ覚ですが、確か流行りものの本より年月を経てきた古典が良書であるというような説明をされていらしたように思います。
古典が良書だと言われても、社会人になってしまうと、中々気軽に手に取ろうという気にはなれない方の方が多いと思うのですが、当会の会員の方で、外出自粛でできた時間を利用されて、万葉集や源氏物語など古典文学作品を紐解かれた方がいらっしゃいます。更に、読むだけではなく、読後のエッセイを書かれたり、短歌等も100句ほど詠まれて、ストレス解消や気分転換を図られたそうです。そのいくつかを拝見したのですが、古人も顔負けのとてもロマンチックで情熱的な作品ばかりでした。
子供時代は、小中高と本を読む環境にはなく、朝から暗くなるまで友達と田舎の野山を駆け巡り、真っ黒になってお腹を空かし家路に戻るという生活だったそうですが(私も小学校の頃は本を読むより外を駆け巡っている時間の方が多かったです)、目で見たり耳で聞いたりという実体験があることが作品の礎になっているのかもしれませんね。ようやく本を読む時間が持てたので古典にも触れてみた所、一度しかない人生を熱く美しく生きる姿に感動されたそうです。本を読むことで、とても心豊かな時間を過ごされていらして素晴らしいと思いました。
ある統計調査によると、富裕層や世の成功者と言われる人達は、一般層に比べて、読書量が多いことが分かっているそうです。例えば、平均的な年収を稼ぐ、20~30代のビジネスマンの1ヶ月の読書量は、平均0.26冊であるのに対して、年収3000万を稼ぐビジネスエリートは、平均9.88冊もの本を読むそうです。人生の成功者は、本から大量の情報をインプットし、人生を豊かに生き抜くための知恵を得ているそうです。
一方で、半年前に新聞でみかけた『「活字の学び」魅力と大切さ』というテーマのインタビュー記事で、東京大学の教授が『ある1冊の本を何度も読んで、その都度、新たな発見があるのも、読書の楽しみのひとつだ。そしてそれは自分が成長していることの証拠でもあるのではないか。印刷された文字からどう読み解くか、というのは、読者の読解力と経験が反映される。読書には、自分の読解力を映す鏡のような側面がある。―中略―大切なのは、本をたくさん読むということよりも、そこに何が書かれているのかに注意を払い、考えること。そして、積極的に咀嚼して、外に出すことだ。』と述べられていました。
いずれにしても、いろいろな価値を持つ「本を読む」ことはそれぞれの楽しみ方があるように思います。今、行政では、教科書を紙からデジタルに移行することも検討されていますが、利便性というメリットがある一方で、学力向上の効果や端末通信設備の維持コスト、健康問題等々、クリアすべき課題が山積しているそうです。
今やデジタル機器で本を読める時代となり、VE誌も2018年から電子版が登場しましたが、個人的には紙の本の方が好きですし、本屋さんで実際に本を手にする楽しさもあります。世の流れとしてデジタル化が進むにしても、『電子書籍と紙の本が共存できればいい』というある作家さんのインタビュー記事が、上述の東大教授の隣に掲載されていたのですが、今年、私が一番感銘を受けた記事でした。是非、ご紹介したいのですが、長くなりますので次回にさせていただきます。
では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)
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