料理をする(7)  (ゆ)  No.234

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

紅葉の美しい季節になりましたが、日本は衣食住のどれをとっても四季それぞれの季節を感じさせる工夫が巧みですよね。中でも「和食」は、平成25年にユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、以下の4つがその特長だそうです。

1. 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
2. 健康的な食生活を支える栄養バランス
3. 自然の美しさや季節の移ろいの表現
4. 正月などの年中行事との密接な関わり

低脂肪で植物性食品や魚介類、発酵食品、海藻等がたくさんとれて、栄養バランスをとりやすい和食は理想的な食事だそうですが、上の特長の中でも、やはり自然や季節の美しさの表現は秀逸だと思います。また、お料理だけでなく、それらを引き立たせる和食器は、形も模様も実に多種多様で目を楽しませてくれます。

 A platter with leaves of the reeds 2014.5

上の写真は、以前、当会のVE誌の編集委員でもいらした元・三菱電機㈱の黒川浩一氏の作品です。60代から陶芸を始められたそうですが、所属される陶芸クラブ展での人気投票では毎年のように上位入賞を果たされていらっしゃいます。6年前に作られたというこのお皿は、それだけでも素敵ですが、秋のお料理を盛りつけたら美味しさが更にアップしそうです。よく、「目で食べる」ともいいますが、お料理を何にどうやって盛りつけるかも大切だと思います。

お料理は、舌で味わうのはもちろん、目で見たり、香りをかいだり、音を聞いたり、触感を楽しんだりと、正に五感が総動員されるものだと思います。例えば、炊き立ての新米に塩鮭等を想像しただけでも美味しさが蘇りますし、洋食の朝食等でも、コーヒーのいい香りの中、香ばしく焼けた狐色のトーストや綺麗な黄色のオムレツを見ていると「幸せな香りや色があるとしたら、こういう香りや色かも?」と思ってしまいます。自分はもちろん、誰かを幸せにできるお料理は、人類を幸せにするVEと共通点があるかもしれませんね。

ただ、食材選びや計量の他にも、味付け、火加減、水加減、調理器具や器選び、盛り付け等々、手間暇をかけて作った料理が誰かを幸せにする一方で、地球が不幸せでは本当の意味での幸福は維持できません。2016年度の農林水産省の資料によれば、643万トンもの食品ロスがあり、その中の約3割は家庭から出るそうです。

食品ロスの原因は、過剰除去(皮を厚くむきすぎる等)、食べ残し、直接廃棄(調理せずに捨てる)だそうです。食品は燃やすことによって二酸化炭素が出て環境悪化につながってしまうそうですし、生産段階だけでなく加工や輸送にかかったエネルギーもすべて無駄になり、経済的損失も計り知れないとのことです。VEにも通じることだと思うのですが、「食品を無駄なく効率的に利用することは、社会、経済、環境面での持続可能性を実現する価値あること」と認識することが大事だそうです。

更に、何百万トンもの食品ロスを出す国がある一方で、飢えに苦しむ国もあります。国連食糧農業機関(FAO)が7月に公表した「世界の食料安全保障と栄養の現状報告書」によれば、世界の11人に1人、7億人近くが飢えに苦しんでいるそうです。ただ、全世界で生産されている食料は年間40億トンと、数字の上では全人口を賄える量があるのに、3分の1が無駄になっているとか。食品ロスの削減ができれば、人類にも地球にもいいことではないかと思いますので、できる限り食品の無駄を出さないように料理をすることを心がけていきたいものですね。

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

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